3日目.人民の、人民による、人民のための何か

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 久麗爺も南の空を見た。先日、旭川の上空に来たのと形の違う宇宙船が見えた。少し青白く霞んでいるが、まだ距離があるせいだ。  手の指で上下左右の角度を測る。高度が30キロより上なら、この前のより確かに大きい。  宇宙船の下面に垂れ下がっている物がある、ロッドか釣り糸のように見える。が、細く見えるのは宇宙船の大きさゆえと知った。  どどどんどん、衝撃波が体を揺さぶる。スタルヒン球場が・・・いや、旭川が宇宙船の日陰に入った。近付くにつれ、垂れ下がっていた物が、実は幅数十メートルもある建造物なのがわかった。  陰が濃くなり、夕暮れのようになってきた。天空の大部分を宇宙船が覆ってしまったせいだ。  球場の照明灯が点いた。グランドが明るく照らされる。  雲を割って、天空から垂れた塔の先端が近付いた。風が強くなった。  塔の先端がスコアボードの上をかすめ、ついにグランドへ降りて来た。  パパパッパパーッ、ラッパのような音が響いた。  7人目の天使がラッパを吹くと、獣が地に放たれて・・・久麗爺は何かの本で読んだ一節を思い出した、何の本だったかは思い出せない。  塔の先端が開いて、階段のような物が出て来た。人が乗っている。  階段の下端がダイヤモンドの2塁ベース付近に接した。動く階段に乗り、人が降りて来た。 「諸君、我がアスタータ惑星侵略委員会筆頭理事、キミノヒ・トミ様である」 「とみ? おトミさんね」  イム・ベーダーが降りて来た者を紹介した。筆頭と2位では、立場は天と地ほどの差、まるで執事のような言葉遣いと態度である。  久麗爺は目をこらした。侵略者の筆頭の姿を目に納める。  どう見ても女である、ナイスバディーでセクシーダイナマイツ。イム・ベーダーと同様なメカメカしい腕輪と首輪を着ていながら、長い髪を風に巻いて、ビッグなバスト、締まった腰、グレートなヒップにワンダホーな太股だ。無論、頭のてっぺんには角があった。1本だけでなく、何本も列を成してるように見えた。  忘れかけていた男の煩悩が、腹の底でグツグツと沸き立とうとしていた。 image=510536651.jpg
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