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「暇つぶし・・・か。君らにとって、地球はその程度の星かもしれない。それで、その侵略の結果、地球をどのようにする気なのかな?」
久麗爺は冷静を装い、問いを続けた。
うむ、イム・ベーダーは頷くと、テーブルの茶菓子を見た。
「これは壺屋の『き花』と言うクッキーだ。おいしいよ」
太郎が菓子の袋を一つ取り、封を切った。ぱく、と丸ごと口に入れた。
久麗爺は眉をひそめたが、あえて言葉にはしない。客人より先に茶菓子に手を付けるのは、日本的慣習に合わない。が、世界的に見れば、家人が先に口を付け、安全である事を示す習慣もある。
「侵略して、もしも・・・地球がおもしろい星と感じれば、以後、それなりの関係を築けるかもしれない。だが・・・」
イム・ベーダーはクッキーをかじり、その甘味に舌鼓をうった。残りを口に放り込み、もぐもぐと呑み込む。
「もしも、つまらない星と感じたら、消去する」
「消去?」
「いくつかのレベルがある。表面消去では、惑星の表面をセッシ1000度ほどに加熱し、地表面から100メートルくらいの深さまでを無生物化する。惑星消去では、この惑星を砕き、直径100キロ以下の微惑星まで分解する。完全消去では、惑星を構成する物質をガス化し、天体としての存在から消去する」
「つまらない・・・と、ガスにする」
太郎は息を呑んだ。つまらないなら皆殺し、と宣言された。
だが、希望もある。単なる戦争ではない、勝ち負けだけが生き残りの条件ではない・・・かもしれない。
「今は下調査の段階なんだよね」
久麗爺も茶をすすりながら考える。調査で来た宇宙船が長さ30キロ級だ。本格侵略ではどんな怪物的なのが来るか。それに対抗して、地球側にできる事は何だろうか。
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