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獅子殿は愛を叫ぶ
『で、いきなり呼び戻して、結婚の話?』
ジローは仕事で留守にしていた所を呼び戻され、機嫌が悪いようだ。
『ライオネスくんはちゃんと、モエーの了承を得たの?』
婚姻誓約書を見せられ、茫然としているモエーと、ピリピリしているジローがいる。
『モエーは俺の求婚に頷いてくれたぞ。』
『モエー、それ、本当?』
『おじさん、二人で話がしたい!
こっちの常識を教えて!!』
『だそうだけど、ライオネスくん、廊下に出てて!』
『嫌だ。
俺の前で話せばいい。』
『ふう、モエー、こいつは言うこと聞かないからただの置物だとでも思って話して。
確認するけど、モエーはライオネスくんの事好きなの?
結婚しても良いと思っているの?』
『えっと、嫌いではないけど。
でもいきなり結婚だなんて。
まずはお付き合いから始めたいかな。』
『ふうん。
まだ結婚したくないってさ。』
『だ、だが、俺の求婚を受け入れてくれたではないか!』
『じゃ、その【婚姻誓約書】に魔力を通してみたら?』
『良いのか?』
婚姻誓約書は魔力を通して完成する。
俺はモエーへの愛を込めて魔力を流した。
・・・・・・・
何故だ?
紙が光って婚姻成立する筈なのに、何事もおきなかった。
俺の愛は真剣な思いなのに何故、何もおきないのだ~?!
『はい、不成立ね。
もっとお互いの事話し合って、知り合ってから結婚した方がいいね。
さ、モエー、部屋に戻るよ。
今日は又、俺の部屋に寝るかい?
錯乱した獅子が乱入するかもしれないしね。』
ああ、愛しのモエーが連れて行かれてしまう!
おのれ、ジローめ!!
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