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小さい布の袋(実は魔法の袋)と、旅行鞄を抱えて林を抜ける。 魔法の袋は私の満足するだけ、入ってくれましたよ! 二、三週間後には又帰省出来るっていうから、とりあえずの物をつめ込みました。 で、林を抜けると、異世界です。 うん、そんな気がしてました。 『モエー!おかえり、モエー!!』 そう、ライオネスさんがお出迎えしてくれました。まさかこの獅子殿、ずっとここで待ってた訳じゃないでしょうね? 『ああ、モエー。 会いたかった! もう、離したくない。』 荷物ごと私を抱える。 慣れたけど、恥ずかしいんだよ! そのまま飛ぶように階段を降り、建物の中に入り、部屋に連れ込まれてしまった。 『ちよっと、ライオネスさん、私の部屋、隣だってば!』 『モエー、もう、離したくない。』 まるで一度棄てられた仔猫のようにしがみついて離れない。 もう、しょうがないなあ。 こんなになつかれちゃったら、ほだされちゃうわよね。 『ライオネスさん、私の名前を教えてあげる。』 『名前?モエー?』 『それはニックネーム。 名前、知りたい?』 『お、おう!』 『私の名前は【赤澤萌子】です。 書類に書く時は間違えないでね。』 『お、おう! それって、それって、良いのか? モエー、いや、【アカザワモエコ】! うおおぉぉぉ!俺だけのモエコ!! はっ、こうしてはいられない! 早速婚姻せねば!! 婚姻誓約書、どこ行った?! ジローも呼ばなければ!! ジロー!!!』 ドタバタと行ってしまう。 この先不安は多いけれど、異世界に就職するのも良いんじゃないかと思う。 そして、異世界で永久就職するのも良いんじゃないかと思う。 赤澤萌子20歳、この度、異世界に就職する事になりました。 そして、獅子の獣人に永久就職する事になりました。
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