0人が本棚に入れています
本棚に追加
殺人の結果
「妙な状況だな」
「妙な状況ですね、主任」
通報を受けて赴いた刑事達。
その場を取り仕切る警部補は、そういってため息をついた。
四角い庭。
折り重なり、倒れている二人の男。
二人とも重症で、一人は頭蓋骨の完全骨折。
もう1人も胸部に重度の圧力を受けた上での死亡だった。
それだけでも十分な凶行なのに、片方の巨漢は、腕に切り傷まで負っている。
そしてなによりの謎は、雨上がりのぬかるんだ地面。
そこに、1人の細身の被害者の足跡以外、何も残っていないことだった。
死亡推定時刻には、もう雨はあがっていたというのに。
四方を建物に囲まれた中庭。
男が二人、強烈な凶器で殺される。
被害者以外の足跡はなし。
犯人の足跡もなければ、もう1人の被害者の足跡まで……
「奇妙だ」
刑事二人は呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!