トイレの花子さんの噂

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「結構有名なんだよこの学校では、なんだか最近部活で夜遅くなってしまった女子生徒が薄暗い校内で用を足していたら隣の個室から、しくしくと涙を流す声と共に紙をくれ!って声が聞こえたって話さ!」 ブランコを漕ぐのを止め、篤弘はそのまま続きを話し始める 「これがこの桜日高校の七不思議のうちの1つ目、トイレの花子さんなんじゃないかと今、生徒たちの間で噂になってるみたいなんだ!」 顔が近い……見てわかるが、目がキラキラしている、散歩中の子犬のような表情で嬉しそうに話す、しかも一般的な花子さんってそんな事言うっけか? しかし俺には分かる、次に奴はこう言うはずだ 「「今から学校に行って確かめてみよう!!」」と 日はもう傾き始め、家に帰っても暇だとバレている俺に拒否権など初めからなかった 夜の桜日町は街灯が少なく薄気味悪い、流石に何の用もなければとてもじゃないが一人で出歩こうとは思えないほどだ 学校の校門を飛び越え、昇降口を開けようとすると鍵がかかっていた 「鍵、かかってんぞ、もう諦めろよ」 帰る良い口実ができた事により俺のテンションは少し上がった、が 「こっちこっち!ここ開けといたんだ!」 そう言い、篤弘は渡り廊下の窓を開ける おいおい……初めから忍び込む予定だったのね…… こうなったら仕方ないと夜の学校に忍び込む、初めて暗い夜の学校に登校したのだが、想像を絶する気味の悪さだ、まだ五月の初めということもあってか、少し肌寒い 「どーするんだこれから?」 「そんなの決まってるさ!噂の女子トイレまで行くんだよ!!」 どうしてこいつはここまでテンションが高いのだろうか…… 俺の前を軽い足取りで篤弘は歩く 俺はその後をついて行くが何もないだろうと分かっているのだがなんとなく、後ろを振り向いてはいけない、そんな気がした。
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