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「やあ、気がついたみたいだね」
香ばしい匂いがする。
「起き上がらない方がいい。まだキットで処置をしたばかりだ」
どこか、ふかふかとした場所に横たえられている。
「よくわからないけれど、多分、点検不足だったんじゃないか? 確かにここは新天地だけれど、油断しちゃいけないな。〈神様の胃袋〉の仕事は、新たな世界の初期値を設定するところまで。神様はとっくに退勤したんだ。自分の面倒は自分で見ないと」
若い男の声がする。それに、食器の触れ合う音も。顔だけをそちらに向ける。大きな円形テーブルの向こう側、質素なソファにかけて食事をしていたのは、栗色の髪を無造作に伸ばした、
少女だった。
「……ここは?」
「ここはレストランだね。君が落ちた地点のすぐそばにある」
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