第二回 グランドビルは、俺の王国

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第二回 グランドビルは、俺の王国

 グランドビルは、俺の王国。この土地を二十五歳の時に買って三十年、ずっとそうだった。荒野を開拓し、野蛮な先住民から守って来たのだ。この王国は誰にも渡さねえ。相手が時代でも、アメリカ帝国でもな ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  グランドビルは、俺の街だ。  俺がこの土地を買い取り、荒野を開拓して一代で築き上げた、いわば俺の王国でもある。  それがどうだ。目の前の男は、俺に国王の座を譲れと言いやがる。三十年もかけて、育てたこの街をだ。そんな申し出を受け入れられるはずがない。  俺は、壁掛け時計に目をやった。午後三時。三度目になる交渉を開始して、二時間が経っている。 「だからですね……」  俺の私室にあるソファに腰を下ろしたその男は、呆れた表情でそう言った。  名は確か、トーマスと言ったか。都市整備局とやらの小役人だ。  トーマスは、ぼうふらのような若造だった。チビで痩せている。頭には油を塗って、いかにもインテリを強調しているところが気に入らない。 「だからですね、じゃねぇよ、若造。俺は嫌だと言っている」     
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