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紫陽花
梅雨の時期、雨が降る日にだけ、私は少し遠回りをして家に帰る。
通学路を少し外れた公園、そこにある紫陽花を見に立ち寄るためだ。
公園の中の狭い道沿い、その両側が紫陽花で埋め尽くされる。
その道のちょうど中間辺りに屋根付きのベンチがあって、そこでしばらく雨の音を聞きながら紫陽花を見るのが、最近の私の楽しみだった。
雨の日に行くのは、雨音が好きだから、というのもあるけれど、晴れの日にはベンチに先客がいることが多いから、というのが一番の理由だ。時々は晴れの日に行って、花を見ながら散歩したりもするのだけど、雨の日に一人でベンチで紫陽花を眺める、その時間が好きだった。
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