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「そっか、って……何となく気付いていたなら、僕のこと、怖くなかったんですか?」
「怖くなかったから、一緒に紫陽花を見に来てたんですよ」
そう言うと、彼は照れ臭そうにしながら、嬉しいです、と口にした。
「去年から、雨の日に君が来てくれているのを知っていました。一言、お礼が言いたかっただけなのに、気付いたら一緒になって花を見て、少し話をして。とても楽しかったです」
「私もです。また、来年も見に来ますね」
「ありがとうございます。来年も待っていますね」
そう会話をして、もうしばらく花を眺めて、私達はさよならを言って別れた。
別れ際手を振る彼を見て、やっぱり雨と紫陽花が良く似合うな、と思った。
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