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翌日は、午前は雨だったが午後にはすっかり天気が良くなり、青空に太陽が出ていた。
私は公園に足を向ける。
晴れの日、ベンチには人がいて私は散歩をするだけだったけれど、まだ雨に濡れている紫陽花は、陽の光が煌めいて美しかった。
地面にできた水たまりも、今日は凪いでいて鏡のように景色を映している。
紫陽花の足元にも大きな水たまりができていた。
そこに映る透き通って美しい景色をよく見ようと水たまりを覗き込んだ時、映る世界に一緒にそれを覗き込む彼の姿が見えたような気がしたが、紫陽花の葉から一滴落ちた水滴が水面を揺らすと、彼の姿はそこから見えなくなっていた。
もしかしたら見えないだけで、彼はこの辺りに居るのかもしれない。
もうすぐ今年の紫陽花はお終いだけど、来年も楽しみだ。
再び水たまりを覗き込むと、そこには微かに揺れる青空と、紫陽花が映っていた。
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