父さん、美味しいりんごを剥いてくれよ

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深夜。携帯がなった。 通知された番号は、故郷の市外局番のものだったが、実家ではなかった。 「もしもし?」 電話の相手は、病院だった。 親父の容体が急変し、今夜が峠だと言われた。 すぐに来れるかと聞かれたので、俺は車で高速道路へ向かった。 途中、お袋に電話をした。 数日前から入院していたらしい。 どうして良いか分からず、まだ家に居た。 俺を待っていると言う。 俺は舌打ちし、すぐに病院へタクシーで向かうように言った。 だから嫌なんだ。 俺が実家に寄ったら30分はロスしてしまう。 何でそんなことも分からないんだ! 自然とアクセルの踏み込みが強くなった。
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