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となんてどうでもいい」
いつもの一番奥の席へと座り、鞄から描きかけの原稿を取り出す。
だったらもう視えなくていい……、
その方がマンガ作業によっぽど集中できる。もともと世界に色なんていらなかったんだ
そう納得させて、黙々とペンを走らせる。それは誰にも見せる予定も、見てくれるアテも無い漫画原稿だった。ただ私はこの限りなく精緻で美しい世界を少しでも描いてみたかった。たとえこの世界は広すぎて、私の腕じゃ描ききれないのだとしてもだ。だから、私は今日も街で撮ってきた写真を参考に漫画背景として白黒の線へと落としこむ。
「……っと、もうこんな時間か……」
集中していると時間が過ぎるのが早い。またあの教室に戻らなきゃいけないのは気が滅入る。休み時間の教室はいつも皆のおしゃべりがうるさいのだ。他人の話ほど興味の無いものはない。どうせ私には関係ないのだから。
大体、私はあのクラスの奴らが嫌いである。この前なんかは、私が唯一の美術部員だからと言って、文化祭のクラス劇で使う背景とかを居残りで描かされたこともあった。しょせん、クラスの日陰者みたいな私は使い勝手のいい雑用係のようなものなのだろう。私の方こそそ
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