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それからというものの毎日、何かにつけて教えてと田辺は美術室にやって来た。半分以上はくだらない雑談だったが、そのうち私は不思議と悪い気分はしなくなっていった。
「ねぇ、久遠くんはそんなに絵が上手いのに、皆には漫画を描いてることを内緒にしてるの? きっと皆に言ったらたちまち人気者になれると思うけどなぁ……」
「さぁな……、私は自分に自信が無いからかもな……。そりゃあ描き上げた時は最高の気分さ。でも、しばらく置くと全然ダメダメだってとこが自分でもわかるんだ。だから、こんなの見せる価値が無いと思ってしまう。」
「じゃあ、今描いてる作品は完成したらその瞬間にあたしに見せに来てね。それなら最高の瞬間のままでいられるでしょう? 絶対に約束だよ」
田辺が私の右手の小指を握って指切りげんまんをしてくる。
不可思議だった。今まで私はこんな本音など誰にも言ったことが無かったのに、彼女の前だと自然に引き出されてしまう。彼女は絵の才能はからっきしだったが、まるで誘導尋問みたいに本心を引き出す才能はあるように感じた。
そんな日々が二週間近く続いたある日、田辺がぱったり来なくなる日があった。最初は偶然急用でも入
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