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ったんだろうと思っていたが、次の日もその次の日もやって来なかった。
課題はもう完遂したのか? それとも、もう飽きてしまったのか? と私は悶々と想像を巡らせてみるが、真相は直接聞いてみないとわからない。
ちょうど、アイツがいない間に、4・5時間目もサボって、原稿も完成させた事だし、すぐに見せるという約束をしてしまった以上、今度は私の方から田辺に会いに行くことにした。今ならまだ教室にいるかもしれない。
陽は早くもすでに傾きはじめ、廊下一面に西口の玄関から眩しい夕日が差し込んでいるのが見える。そういや、いつも私は授業終了のチャイムが鳴る度に速攻で美術室に向かうので、教室で田辺とあまり話したことは無かったのであった。それに加えて手には出来立ての原稿も持っているせいか、自分の教室に向かうのにも妙に緊張している。
「……いた! アイツ……」
しかし、私は教室のドアを開けようとするが、そこで立ち止まってしまう。
何故なら、視線の先には田辺がクラスメイトのグループと楽しそうに談笑している姿があったからだ。普段の私が見ない光景、その眩しさを前にして、私は立ち尽くす。
やはり彼女はそちら側の人間だ。
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