失くした色

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だった。小刻みに身体を震わせてぷんすかと怒っている。どうやらわざわざ私が起きるまで電気も点けずに、待っていてくれたようだ。いつのまにか私の身体に膝掛け用の毛布が掛かっているのもそのためだろう。 「ど…………どうして…………、なんで君はこんな日陰者の私のとこになんて来てくれるんだ? 今日みたく、クラスの他の皆とつるんでいる方がよっぽど楽しいだろう? 私と違って、君の方がたくさん友達もいるんだから、そっちの方に課題を教えてもらえばいいじゃないか……。私は……私は……誰からも見向きもされないつまらない人間なんだよッ…………!」  不意打ちの暖かさに思わず涙が滲んで、嗚咽が漏れる。これまで怖くて聞けなかった疑問が喉をついて出てきてしまった。 「久遠くん……」そんな私の表情を見た田辺は一瞬驚くが、すぐに私の目を見つめ直して優しく語りかける。 「そんな事ないわ、久遠くんがすごい人だってことは私がよく知ってる。久遠くんがいつも一人で頑張っていたのも、居残りしてみんなの為に文化祭劇用の背景を描いていてくれてたのも全部、あたしはずっと見ていたもの……。でも、絵の才能が無かったあたしは、あなたを手伝おうとして
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