177人が本棚に入れています
本棚に追加
「おっ、と」
玄関まで迎えてくれた史弥に、私はたまらずに抱きついた。
少し驚いたような声を出したけれど、しっかりと私を抱き留めてくれた逞しい腕に、胸が熱くなる。
「…瑠唯?なんかあった?」
まるで鼓膜を撫でるように響く優しくて低い声。
胸がぎゅっとなって、泣きそうになってしまう。
「…会いたかった」
震えた声は、本心を紡いでいた。
史弥の背中に回した腕に、ぎゅっと力を籠める。
まるでしがみつくように、そのまま史弥のシャツを握った。
「…会いたかったの…っ」
言葉と同時に、目から涙がポロリと零れ落ちた。
きっと、私は寂しかったんだ。
寂しかっただけなんだ。
素直になった瞬間、心がスーッと軽くなっていくようだった。
最初のコメントを投稿しよう!