173人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
その後、お互いに何も言葉を発さなくなって随分と長い間、沈黙が流れていたように思う。
数分か、数十分か。
正確にどのくらいの時間が経ったのかは分からないけれど、暫くして、スースーと規則正しい史弥の寝息が聞こえてきた。
チラリと横目で史弥を見ると、あどけない寝顔を浮かべて眠っている。
それに対して私は……全く眠れそうにない。
身体は限界なほどに疲労を感じているというのに、眠気がやって来ることはなく、はぁ…と小さな溜め息を吐いた。
何か飲もうと思った私は、腰のあたりで絡まっていた史弥の腕をそっと解いた。
もちろん、史弥を起こさないように慎重に。
むくりと上半身を起こすと、ギシッとベットが軋む乾いた音が響く。
それに反応した史弥が「んん…」と小さく唸りながら、解いた腕をまた私の腰あたりに絡ませてきた。
最初のコメントを投稿しよう!