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第5章
「樋波さんの家の辺りで不審者が出たらしいから気をつけなよ?」
営業課の部長にそんな言葉をかけられたのは、つい3日前のことだった。
どうやら私が住んでいる地域で女の人が不審な男に後を付けられるという事件が多数あったらしい。
何かと気遣いをしてくれる部長は、その事があったからか今週はずっと定時で上がらせてくれていた。
けれど、週末になるにつれて溜まっていく仕事の山。
金曜日ばっかりはどうしても残業コースから免れることが出来ず、私が会社を出たのは21時半ごろだった。
疲労感に漂う身体を電車の椅子に預けて、ふぅっと溜め息を吐く。
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