番外編2

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思わずその名前を呟きながら近づく。 暗闇に慣れた瞳がソファの上で丸まるようにして寝ている雫を映し出した。 …まさか、此処で俺が帰ってくるのを待ってたんだろうか。 いつもの部屋着姿。 その上にブランケット一枚を被って、まるで猫のように丸まって寝息を立てている。 そのあどけない寝顔に、無性に愛おしさが込み上げてくる。 視線を合わせるようにその場にしゃがみ込み、顔にかかっていた髪を払うようにそっと指を這わした先、雫の頬に微かに残る涙の痕に気づく。 「……、」 一緒に住み出して、一度だけ雫が夢で(うな)された事があった。 苦しそうに呼吸を乱しボロボロと涙を流すあの雫の姿が、今でも脳裏にこびりついたように離れない。 あの時一体雫がどんな夢を見たのか。そんな事、聞かなくても分かってる。 きっと…いや絶対に、あの創という男の夢だろう。
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