第4章

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私の少し前を歩く香坂さんについていく。 さっきよりかは随分とペースを落として歩いてくれているおかげで、小走りになる必要もなかった。 コンビニから少し離れたところにある公園に行きつくと、香坂さんはすぐ近くにあったベンチにビニール袋を置いた。 カサカサという音を立てて、袋の中からビールを1本取り出す。 そしてそのまま「ん」と短い言葉と一緒にそれを私に差し出した。 「…ありがとうございます」 どうしてこんなことになったのかと未だに疑問だらけで戸惑いを隠せないけど、差し出されたそれをおずおずと受け取った。 ひやりと冷たい感覚が手の平に伝う。
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