第4章

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まるで私の心が明け透けになっているかのように次々と言い当てられている。 ここまでくると香坂さんは人の心が読めるんじゃないか、なんてそんなバカなことを真剣に考えてしまう。 動揺を隠しきれていない私に、香坂さんは「図星かよ」と言ってからハッと小さくバカにするような笑みを零した。 「ど、どうして分かるんですか…?」 「前にも言っただろ。お前、全部顔に出てんだよ」 恐る恐る訊ねたそれに、ピシャリと返ってきた返事。 確かに初めて会ったときにも同じことを言われた。 麻里奈にも何度か『雫ってほんとに分かりやすいよね!』と言われたことがある。 私って、そんなに感情がそのまま表情に出ているのだろうか。 …自分では、よく分からない。 「…そんなに、分かりやすいですか?」 「なんだよ。自覚ねぇのか?」 またもや頭に浮かんだ疑問をそのまま言葉にすると、ますます眉に皺を寄せた香坂さんはそう返してくる。 その言葉にコクリと小さく頷くと、香坂さんはあからさまにハァッと溜め息を吐いて、 「忘れられねぇって顔に書いてあるぞ」 そんなことを言うから、まさか本当に書いてあるわけでもないのに、私は咄嗟に自分の顔を指先で触ってしまった。 そんな私を香坂さんはまたバカにしたように笑ったけど、すぐに私から視線を外して、短くなった煙草を地面に落とすとそれを踏んで火を消した。 「…やっぱお前、似てるな」 ジャリ…と、砂と煙草が擦れる音と共に届いた香坂さんの声は、低く、小さなものだった。
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