第4章

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けれど、虫の鳴く声と風が木や葉を揺らす音しか聞こえない静かなこの空間では、呟くように発せられたその言葉は私の耳までしっかりと届いた。 「…誰に、似てるんですか?」 そう聞いた後に、もしかしたら聞いてはいけなかったのかもしれないと思った。 だって――… 「…俺の大嫌いな女に似てんだよ、お前」 そう言った香坂さんの横顔が、どこか切なそうに見えたから。
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