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───要するに誰でもいいから話し相手が欲しかっただけか。全く、何だって俺を選んだんだか 「あ、あの、誰でも良かったわけではないんです!あ、あなただから!一緒にいて欲しいな、と、思った、んです……」 「今俺の心読んだ?」 「いえ!そのような顔だったので……」 「あっそう。で、何で俺なの」 「ひぇっ、その、あの、いつからか私が泣いてる時に時々あなたの声が聞こえてくるんです。なんと言うか、こう、私のことを気にかけてくれている、と言うかなんと言うか。今までそんなことなかったもので。気にかけてくれていると思ったら嬉しくって…」 「そんな覚えないんだけど」 「ぅえっ、ほ、ほら、先程も言ってくれたじゃないですか!今日はいつも以上に大泣きだ、って!」 「あぁ、それか。別に神様がいると思って言ったわけじゃないんだけど。そんなので嬉しかったの?」 「うぅ、はい。自慢じゃないですけど、私、神の中でも泣き虫なんです。だからこの役を任されたと言うのもあるんですが……っとそうじゃなくて、そのですね、泣き虫な私を面白がって他の神たちが悪戯してくるんです。それが毎度毎度質が悪くって、何度神をやめようと思ったことか!もう!思い出したら腹が立ってきました!!」 「普通にしゃべってる」 「あ、そうですね。怒ったら緊張が溶けました」 「緊張してたのか」 「はい。で、あの、毎日毎日悪戯されても誰も私を慰めてはくれないんです。泣くことがお前の仕事だろ、って。でも、私にだって心があるんです。心があるから泣くんだ、ってみんなにも言って、ひどいことはやめて欲しいとお願いしました。だけど、やっぱりだれも聞いてくれませんし、もちろん慰めてもくれませんでした。そんなときにあなたが、悲しそうだな、って、言ってくれて、ほ、本当に嬉しかったんです。救われたんです」
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