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───ありがとうございます。
そう言って笑った神様はこの世のものとは比べ物にならないくらい綺麗だった。
顔も綺麗だったが、笑っている姿そのものが、心からありがとう、と言っている気がした。
雨が降る度、何となくただ思っていたことなのに、それがこんなにもこの神様の力になっていたなんて考えもしなかった。
だけど俺も同じように、姿形のない、存在するかどうかわからなかったあんたに、雨に、求められているようで嬉しかったんだ。
そして、いつの間にか俺も、俺を求めてくれる雨を求めていたんだ。
───でも、そんなこと言ってやらない
神様と目を合わせないよう後ろを向いた。
なんかわかんないけど気恥ずかしかったんだ。
「で、神様、結局俺にどうして欲しいの」
「え、っと、です、ね。そ、その……」
「また元に戻ってる。なんかやましいことでもあんの?」
「やっ、やましいことっ?!うぇっ、な、なな、ない、ないわけなくもなくもなくもない……うわぁぁああ!!」
突然神様が叫んだ。
何事かと思い振り返ると目の前に神様が迫っていた。
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