アクセサリーでは無く

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アクセサリーでは無く

もう、召喚された俺の様な魔族が戦闘に参加することはほとんどない。 魔族というのは力のある魔術師の為のアクセサリーだ。 だからアクセサリーとして価値のあるものが選ばれるのだ。 「ああ、ノアはやっぱり白が似合うな。」 クロード様は俺に着せた上質な布地の服を見て頷く。 自分では似合っているか分からない。恐らく貧相な体に服ばかりが上等でちぐはぐなことになっているだろう。 だけど、それを言う立場にはないので黙っている。 「魔術師の集会といっても大した用がある訳ではないから、ノアも緊張しない様に。」 「はい、クロード様。」 そうは言っても、何も考えないなんて無理だ。 こっそりと溜息をついてそれからクロード様の後ろについて歩いた。 ◆ 「なんだ。お前まだクロードの使い魔やってるのか。」 会場について初めに話しかけられたのは俺を最初に召喚した人。本来マスターになるところ契約を破棄された魔術師だった。 ペコリと頭を下げると、「へえ。」と物珍しそうに見られる。 「まるで見栄えが良くないのによく契約破棄しないで連れて歩いているな。」 魔術師がクロード様に言う。 正に事実だ。 俺はズボンの太ももの部分をギュッと握って俯く。     
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