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どう考えたってそうだ。クロード様が自慢できるようなモノではない。
むしろ周りからの評価だって下げかねないのにこうやって一緒にいて、俺は……。
「そうか?俺の使い魔は可愛いだろうどう見ても。」
クロード様が淡々と返した言葉に、魔術師もそれから俺自身も思わずぽかんとクロード様の顔を見つめてしまった。
「はあ?何言ってるんだよ。」
「何って、どう見ても可愛いだろう。灰色の髪の毛も美しいし、瞳もかわいいし、細長い手足は最高だろう。」
クロード様の話し方も仕草も嘘や冗談を言っている様には見えなかった。
ぎぎぎぎと音がしそうな位ぎこちなく魔術師はこちらを向くと「お前魅了魔法でも使えるのか?」と聞いた。使える筈も無くかぶりを振ると「だよな。」とため息と笑いが混ざったあきらめの様な吐息がきこえる。
「天才魔術師様ならもっと高位の魔族と契約したらどうだ。」
むしろ向こうから願い出てくるだろうに。魔術師が言う。
「ノア以外に主従を結ぶつもりはない。」
クロード様はきっぱりと魔術師に言った。
それが自分にとってどれだけ嬉しい言葉だったか、クロード様自身も分かっていないだろう。
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