おしおき

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反動で転んでしまうとそのまま踏まれた。 そんなもんだろうと思うのだ。けれど、悔しくて悔しくて、それでもやり返す事すらできずただ丸くなる。 風が吹いた気がした。それから、いつも嗅いでいるクロード様の香りがした。 「おい、俺のものに何をしている。」 いつも俺に向かって話す時の声と全然違う、酷く冷たい音だった。 顔だけを上げて、見上げたその向こうにクロード様はいた。 お使いすらまともにできず、こうやって迷惑をかけてしまっている。 クロード様の事を見た男たちは血相を変えて逃げ始めた。 それに目もくれず、クロード様は俺のことを抱き上げる。 そのまま魔法陣がクロード様の足元に光る。 眩しくて思わず目をつむる。 目を開けた時にはすでにクロード様のお屋敷だった。 「あの、降ろしてください。」 クロード様にお願いするが何も応えてはくださらない。 そのまま抱きかかえられて、何も言葉もないまま、寝室へと向かう。 ベッドに放り捨てる様に下ろされて、クロード様を見上げる。 表情に笑顔はない。 けれど、その瞳が情欲の炎で揺れていることに気が付く。 出会った頃はそれに気づく余裕もなかったけれど、今は分かる。 「俺以外の人間に触らせちゃ駄目だと言っただろ?」     
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