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こんな俺と契約しようとする、魔術師は今どき居るはずもなく、いつでもお腹はぺこぺこ状態だ。
今日も、目の前にいる金髪碧眼のまるで王子様のような容姿をした魔術師と思われる男は、ため息をつきながら、「愚図がとっとと戻れよ。」と言ってくる。
俺は、おどおどとしながら、魔界に戻ろうとするが、そもそも、帰還魔法等が使えるような魔力が今の俺には無い。
舌打ちをしながら、目の前の魔術師が強制送還のための魔術を発動させようとしていた。あれ、かなり体に負担があるんだよな。何回目かはもう覚えていない、魔術酔いの症状にゾッとしながら、術の執行を待つ。
金髪の魔術師の魔法陣を書いている最中に突然、何者かがその腕をつかんだ。掴んでいる腕をたどって顔をみると、黒髪黒目で切れ長の目が印象的な男が居た。
先ほどから、俺を召喚した魔術師の後ろにある椅子に座ってこちらを見ていた男だ。恐らく、召喚事故等の時のためそこに控えていたのであろう。
―――刹那、その男と目が合う。
「これはおれが貰う。」
そう男が言う。
一方の金髪の魔術師は「いや、ちょっと!!え??」と焦ったように言葉になっていない。
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