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魔術というのは根本的には契約とそれを実行するための方程式だ。その根幹である契約をゆがめたり消滅させたりするためには、高度な技術と莫大な魔力が必要なはずだ。 まさか、まさか、自分の考えを打ち消そうとする。まさか、この黒髪の男が俺の召喚に伴う事象すべてを書き換えたというのか。何のために? 「俺の名はクロード=ジャルディノだ。一応お前のマスターだ。」 目を合わせながら言われる。 「……クロード様。」 俺がポツリとつぶやくと、彼は一瞬驚いた顔をした後、とろけるような笑みを向けられた。切れ長な瞳は冷淡な印象だったが、微笑んだその顔はとてもやさしい。 クロード様は「まあ、様は要らないんだが……。」とつぶやいていたがその時の俺には聞こえてはいなかった。 俺は意を決して質問をする。 「あの、クロード様。お、俺、じゃない私の契約者がそちらの方からクロード様に移ったということでよろしいのでしょうか?」 「ああ、そういうことだ。」 やはり、クロード様は契約先をゆがめるための魔術を先ほど発動されたようだ。 クロード様が一歩一歩俺の方に近づいてくる。そのたび、淡い光を放っていた魔法陣が消えていく。 クロード様が俺の頬に手をあてる。触れられた手のひらから魔力が流れ込んでくるのがわかる。     
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