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The truth is in the darkness
クロード様の肩に担がれたまま、いずこかに向かっている。
俺は魔族とはいえ、召喚によって実際の肉体もこちら側にある状態だ。
多分結構重いと思う。
「あ、あの。」
クロード様に話しかけると、歩みを止めて「どうした?」と聞かれる。
俺の方を見たのだろう、彼の髪の毛が丁度俺の脇腹をかすめてくすぐったかった。
わずかに身じろぐ。
「俺…、私自分で歩けますよ……?」
涼やかな目でじっと見つめられ語尾がだんだんと小さくなった。
「別に、そんなにかしこまらなくても“俺”でいいぞ。」
返事になっていない返事を返しながら、クロード様はそのまま俺を抱えたまま歩きだした。
ついたのは豪華なお屋敷だった。
「あの、ここは?」
おずおずと聞く俺にクロード様は
「ん、俺の家だが?」
と言った。
クロード様が近付くと門が自動で開く。
きっと魔術でそう言う風に制御しているのだろう。
豪華な家とそれを支える魔術。クロード様の身分が分かるようだった。
本当になんで俺だったんだろう。
疑問が浮かぶけれど答えなんて全くもって見つからない。
手入れの行き届いた庭を突っ切って大きな扉を開けると、クロード様はようやく俺を下ろした。
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