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優雅にお辞儀をすると執事は準備の為に辞去した。
使い魔を着飾らせる事は今日日珍しい事では無い。
だけど、俺だよ?いくら着飾ったところで見栄えが良くなるはずが無い。
もう少しだけでも見栄えのする容姿だったらよかったのかも知れない。
そう、無い物ねだりをしてしまう。
「いくぞ。」
思考の波にのまれていると不意に声をかけられた。
声の主、クロード様の方を見ると、早くしろとばかりに手を差し出された。
「どこに行くのですか?」
「風呂。」
簡潔に必要な事だけ言われた。
ああ、俺汚いもんな。
薄汚れた自分自身を確認して、そっと溜息をついた。
◆
浴室は俺が思っていた物より広く湯船は泳げそうなほどだった。
てっきり、俺一人で汚れを落として来いと言われるものとばかり思っていたけれど普通にクロード様は僕のボロボロの服を脱がせると自分の服も脱いだ。
オロオロとその場に立ちつくす俺をわきに抱える様に抱きかかかえるとそのまま洗い場に向かった。
お湯を頭からゆっくりとかけられて石鹸の泡で全身くまなく洗われる。
自分でやりますと言ったのだけれど、任せておけと返されされるがままになってしまった。
素肌から直に伝わる魔力は先ほどの比ではなくクラクラとしてしまう。
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