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ふうふうと呼吸が荒くなっているのが俺自身にも分かっているけれどどうする事も出来ない。
「どうした?」
そんな風に心配そうに聞くクロード様は今のこの状況に気がついていないはずが無い。
だって、どうしたと聞きながら触れた手から流れ込む魔力の量がその瞬間増えたのだから。
泡を直接手で体中に塗りこめられて同時に魔力をジワジワと俺の体に刷り込んでいく。
長らくまともに魔力供給を受けてこれなかった俺にとってそれはもはや毒に近いのかも知れない。
「クロードさま、もう、やぁ。」
喘ぎの様な吐息が出てしまい、居たたまれなくなる。
ゴクリ。何かを飲み込む様な音が聞こえた気がした。
次の瞬間先ほどまでと比べモノにならない量の魔力が、俺の体に流れ込んできた。
目の前が真っ白になって、チカチカと視界に星が飛んだ。
あまりの衝撃にそのまま俺は意識を手放した。
◆
肌を上気させたまま気を失った、ノアを一人の男が見下ろしていた。
その瞳は普段の何事にも興味の無いと評されるものともノアの前で見せていた優しいものでも無く、欲情に濡れていた。
その男、クロードはそっとノアの頬を撫でると満足そうに一度頷いた。
「ノア。」
噛みしめるように使い魔の名前を呼ぶその声は酷く甘やかで色気を孕んでいた。
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