1章 完

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ほら、朝がきた。 「おはよう!」そう言われて目を覚ますと にんまりした顔で彼女は僕を のぞき込んでいた。 「…まだアラームまで10分もあるんだけど…」 朝が苦手な僕は少しムッとする。 「良いじゃなーい?早起きは三文の徳って言うし!」 「現代でいうところの60円にしかならないだろ」 その言葉に衝撃を受けたらしく、カーテンを開ける手が止まった。しばらくするとせきを切ったように大口を開け笑い始め、彼女はこう言った。僕を起こせる朝が特別なのだと。一緒にいるからできる事なのだ、と照れながら僕に伝えてくれた。 朝日より眩しく感じた。…っ僕も…… ピピピピピピピピピピピピピピッ ハッとして飛び起きると、朝の冷たく静かな部屋のなかに一人。また…だ。シーツは冷ややかで、僕だけの体温が残っている。何度目を覚ましても、もうあの朝がくることは無い。
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