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ある土曜の午後。
雲ひとつない晴天の中、車庫では『325』が、凛として佇んでいる。
乗り出して既に3年半が経つ『325』だが、傷ひとつなく、車から乗り手の愛車精神とその性格の美しさが伺える。
その乗り手は、下口満子(28)である。
『雨水さえも弾き、虫、埃すらとどまることが許されないほど磨き上げられたフロントガラス。』(社内A氏談)
『一切の曇りもないタイヤホイール。』(取引先Y氏談)
『ウイングに至っては、今にも空を舞いそうな生命力を感じる生き生きとした艶感。』(他社D氏談)
『鏡よ鏡よ鏡さん、この世で一番美しいのはだ~れ?』(市内某倉庫パートのおばさん)
ついついそんな事をしたくなる右、左のミラーたち。
『こぎみよいワイパー三兄弟。』(月刊トラック)
『 荷台は目的地まで直送!土足厳禁、新築物件フローリング2LDKですかー!!?』(不動産会社M)
各方面から噂が絶えない。
枚挙に暇なし。
(みっちゃん、いつもありがとうな。)
「・・・当然やん。」
愛車のほほを優しく拭い、そっとささやいた。
今日も『325』は、とても美しく輝いている。
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