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紗耶香ちゃんは1週間ほど遅れて東京へ戻ってきた。大学を続けることにしているので前期の試験を受けるためだ。
7月末の試験が終わるとすぐに帰省した。紗耶香ちゃんは試験の準備などが忙しくて、僕は仕事が立て込んでいて、二人が会う機会を作れなかった。8月から9月末までは夏休みとなる。
8月15日に納骨をすることに決まっていたので、僕は帰省した。母親から紗耶香には内緒ということで話があった。
自宅と二子玉川のマンションを処分することで、結婚式の費用や当面の母娘二人の生活には困らないから安心してほしい、ただ、紗耶香と僕をすぐに結婚させたいからこのことは紗耶香には言わないでほしいと言われた。
また、山本家の本家へ行って分かったことを話してくれた。信じがたいことだったが、これも紗耶香には内緒にしておいてほしいと言われた。僕が見たあの恐ろしい夢は本当にあったことなのかもしれないと思った。
「すぐに二人は結婚してほしい」という紗耶香の父親の遺言があったので、結婚式の日取りを決めた。大学の後期日程が10月からなので、式の日取りは9月13日になった。
23日で紗耶香ちゃんは21歳になるが、その直前だ。9月の初めに紗耶香ちゃんの引越しをすることになった。
母親は僕の実家の近くに小さな中古住宅を購入して移り住むという。紗耶香ちゃんと僕をその家に案内してくれた。1階に台所、お風呂、トイレ、ダイニングと6畳間、2階に6畳の和室が2部屋ある。
これなら紗耶香ちゃんが帰省しても困らない十分なスペースがある。納骨が終わったら引っ越すと言っていた。それから、母親は看護師の資格を持っているので働き始めるとも言っていた。紗耶香ちゃんはそのまま残って、母親の引越しの手伝いをすると言う。
9月6日に紗耶香ちゃんが僕のマンションへ引越しすることになった。数日前から母親と二子玉川のマンションに来ていて引越しの準備をしていた。電話して引越しの前日に挨拶に行っても良いかと聞くと夕食を用意するのでぜひ来てほしいとのことだった。
夕刻に部屋を訪ねると、すでにダンボールが積まれており、ほぼ荷造りができたとのことだった。もともと通学のための下宿と同じで荷物は多くなかった。僕の部屋は狭いので必要最小限のものにしたと言っていた。
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