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雨の日から一ヶ月ほどして、夏休みに入った。 あれから、自然に近づいた私達は周りからも付き合っているんじゃないかと噂がのぼるようになっていた。 同じ部活だから下校時間も同じ。電車の時間まで暇つぶしにファストフード店に寄ったり楽器店を覗いたり。他の部活仲間も一緒の事が多かったから特にデートという感じではなかった。 先輩と後輩、兄と妹、友達以上恋人以下。 お互いそんな軽い空気が居心地よかった。 少なくとも私には。 それがある日崩れた。 「萌!萌じゃん。ひっさしぶり~」 部活帰り、先輩が買いたい本があるからと立ち寄った本屋でいきなり名前を呼ばれた。 振り向けば中学の時の同級生だった。 「紗雪じゃない。懐かしい!」 紗雪は、私とは違う高校に進学した。 「どう萌?高校生活」 「楽しいよ。でも難しいわ。無理してレベルの高いとこ選んだ罰ね。」 「私は逆にランク下げたから気楽。今んとこ首位。」 「……すごい紗雪」 中学時代、私と彼女の成績はどんぐりだった。高校はランクでいけば私の方が上とはいえ、進学率も進学先の大学もそう大きく変わらない。 なのに紗雪は首位を走っている。それに引き換え、ついていくのがやっとの私。 ちっぽけなプライドが疼いた。     
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