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惨めな気持ちが湧き上がる前に話題を変えたかった。 「紗雪、綺麗になったね?カレシ出来たとか」 彼女は中学でも人気があったからもう恋人くらいいてもおかしくなかった。 「はっ、恋愛してる暇なんかないわよ。やることいっぱい!そんなもん、志望大学受かった後に思う存分やるわ」 胸を張る紗雪が眩しかった。それに引き換え私は全てが中途半端。 「実際、萌はどうなの?」 またしてもちっぽけなプライドが疼いた。いつも順位争いをしていた紗雪に馬鹿にされたくない。 「いないよお、カレシなんて考えたこともないもん。 私も勉強や部活に全力投球だよ。」 その瞬間、私の視界に入ったのは。 紙袋を手に無表情で私を見つめる先輩だった。 その日以来、先輩とともに行動することは無くなった。部活仲間も何事かがあったと察してくれたのか、二人まとめてのお誘いは無くなった。 しばらくして、先輩が穂乃花と付き合い始めたと言う噂が私の耳に入ってきた。     
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