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あの雨の日から既に一年。
あの夏休みからもうすぐ一年。
気がつけば二センチ以上ある日記帳の半分を埋めた。
あの時の鼓動。
あの時の涙。
全てを忘れて一から始めようともがいてる自分が日記帳の中にいる。
というか、ほとんどストーカーよね私。それかとことんM。
「答えないのか?」
「答えるも答えないも……先輩には穂乃花がいる。今更私の答えを聞いたってしょうがないでしょう?」
穂乃花はいい子だ。顔だけじゃなく性格も。それは皆が認めてる。
なによりも。
全身で拓翔先輩の事を好きだと言っている。
私みたいに想いを隠すことなく。グダグダと字で書き連ねることもなく。
「これって私のポエム練習帳なの。
でも恋愛経験少ないから、ちょっとあの時のことネタに使わせてもらってたりする。
webにもアップしてるんだけど、やっぱり一度紙に書いてみないとしっくりこなくて。
それで持ち歩いてたらうっかり落としちゃった。
拾ってくれてありがとうございます。」
にっこりと微笑んで、先輩にぽんぽんと言葉をぶつける。
嘘よ、練習帳なんて。全て自分の想い。
webにアップするわけがない。
自分を晒してこれ以上惨めな思いするのはごめんだ。
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