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結局その後も私は千紘さんに罪悪感を抱きながらも、キジマハヤオのことを考えていた。
相変わらず何も思い出せないけど、色々考えた中で一つだけ確かなことがあった。
それは、あきの言った通り亡くなったキジマハヤオがリクエストメッセージを書けるわけがないということだ。
つまり、ラジオの事は自分の気のせいだったという事だった。
帰り道、コンビニに寄ろうとした時電話がなった。
♪♪♪♪
ー千紘さんー
「もしもし。」
私はいつもと変わらないように電話に出た。
『あ、洋子?』
「うん。どうしたの?」
『声聞きたくなった。』
そんな甘い言葉を囁く彼に、私の心は一気に千紘さん一色に染まった気がした。
「は…恥ずかしいです!切りますからね!!」
だからなのか、罪悪感はどこか薄れてしまった。
たった一言で…。
『ちょっと、待って!ちゃんと用事があるんだ。親父たちが婚約じゃなくてもう結婚したらどうだ?って言い出してて…。もし良かったら今週中に一度会えないかな?』
「はい、もちろん!今週だったら、週末になっちゃうんですけどいいですか?」
少し否かなり驚いたけど、千紘さんには気づかれないように普段どうりに返した。
『了解。なら、日曜日とかどうかな?』
「大丈夫です!時間も千紘さんに合わせます。」
『本当?それならデートも兼ねてランチでもどうかな?』
「もちろんOKです!」
『良かった。ならまた日曜日に!』
電話を終えた私は、千紘さんの誘いが嬉しかった。
それとともに私はもう少しでこの人のお嫁さんになるんだと、少し感動していた。
なのに一度生まれた罪悪感は、やっぱり彼の声が途絶えたら蘇ってきていた。
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