第1章 6月5日の雨の日

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その後、明日も仕事がある私は千紘さんに家まで送ってもらった。 帰りの車の中から見る外の景色はいつもと違っていた。 お店の電灯やビルの明かり。 その全てが、私たちのためにあるかのようにキラキラと輝いていた。 帰って来た私は、 「千紘さん、大好き。」 そう誰もいない部屋のベットの上でつぶやいていた。 カチッ そして、いつもの様にラジオをつけた。 私は、寝る前になぜかラジオをつけなけないと眠れない。 どうしてなのかわからないけど、私は何かを期待しながらラジオを聴いている。 このまま眠ろうとしていた私の耳に、 『さて、続いてのリクエストは松任谷由実「DOWN TOWN BOY」。これは、キジマハヤオさんからのリクエストです。』 と言うラジオの声が聞こえた。 キジマオヤオ? 『「6月5日、僕は君と出会いました。君は、無愛想な僕をみて「もっと笑え」って言ったよね。そのあと君がこの歌に出てくる男の人の雰囲気が僕みたいって言って笑いながら無理やりきかしてきたのを覚えてます。」いやー、なんとも青春って感じですね。ユーミンの曲だから50代くらいの人ですかね?…………』 キジマハヤオ。 確かに同姓同名かもしれない。 でも、不思議だ。 なぜかこのキジマハヤオは私の知っている”キジマハヤオ”のような気が私はしていた。 そして、私はなんとも言えない気持ち悪い気持ちのまま眠りについた。 そのなんとも言えないこの胸騒ぎを抱きながら。
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