第Ⅴ話 天使の魔導書

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 ルネサンス期の大魔術師アグリッパの手による自然魔術(※ほぼ自然科学)の書『オカルト哲学』。  その幻の「第4の書」とされる魔導書が、エルドラニアの重要な貿易港であるヌエバ・エルドラーニャ副王領南方の町マイニラード(※マニラがモデル)に来ているという話を、イサベリーナはサント・ミゲルの教会で小耳に挟む。  そこで、なんかどうか親交を深めているマルクにも教えてやろうと思い立ち、こっそり情報をリーク。その魅力的な獲物にマルク達禁書の秘鍵団は遠方ながらも早速、強奪に向かう。  ところが、マイニラードでは「テウルギア(〝聖なる霊〟の力を借りるもの)」以外の魔導書の使用を認めない魔法修士ハインリヒティウス・シュプロヨラ率いる原理主義的武装修道会“イェホシアス会”と、同会の同志であるシェルモン・ロドリゴ提督率いる〝七聖霊艦隊〟(※マイニラードを締め出された辰国により、私掠免状を受けた海賊・麟龍(チーロン)を討伐するために派遣)が虎視眈々と待ち構えていた。  麟龍の協力を得て、町の中枢インスタムロス要塞へ侵入するものの、イェホシアス会魔法修士の天使の力による魔術にマルク達は過去最大の窮地を迎える。  後方支援のフランシエスコ・グァゾォビエラが魔導書『アルス・アルマデル(レメゲトン第四部)』のタブレットを用いてその空間を支配し、味方の力の増進、逆に敵の力を衰退させる中、『アルス・テウルギア・ゲーティア(『レメゲトン』第二部)』で天空の精霊を宿し、任意の四大元素(地水火風)に属する剣を振るうアルハーン・サルニドンにドン・キホルテスは敗北。フランシエスコの術を破ろうとしたサウロも力を奪われて返り討ちにあう。  『アルス・パウリナ(レメゲトン第三部)』により、黄道十二宮の善き霊を操るニコラレ・ミバティーリャは、その星座にちなんだ動物・幻獣に変身して人狼化したリュカをも圧倒し、『へプタメロン(オカルト哲学第四の書の付録)』で七つの曜日の天使を操るマルディエゴ・リオネスの水曜の流動的性質を宿した身体に、破壊力を誇る露華の陰陽拳も歯が立たない。  さらに『名高き術(レメゲトン第五部)』で天使からありとあらゆる知識・技術を得ることのできるピエルド・ファランクルは、ダーマ人迫害の記憶からマリアンネを心理戦で錯乱させ、錬金術の知識を用いてゴーレム・ゴリアテを土塊(つちくれ)に戻してしまう。
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