第Ⅵ話 ペレグリナキヨン ~巡礼~

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 全員バラバラとなり、各々、禁書の秘鍵団は崩壊したものと判断すると、飛ばされた船の流れ着いた土地でとりあえず新たな生活を始める団員達。  だが、その中で団員達は新たな力を得てゆく。  ドン・キホルテスは、スヴェドニア王国の貿易船で北エウロパの地へ赴き、そこで騎士道物語の如く古代異教の僧ガンダレリ(実は幽霊)に導かれると、「異界への入口」とされる火山でできた洞窟で神話に語られる巨人スルトの霊に戦いを挑み、見事、討ち取ってその霊を“フランベルジュ(※刃部が炎のように波打ってる長大な両手剣)”に宿すことに成功。  まさにずっと望んでいた、「銃火器にも負けない」魔法剣といえる〝スルトの剣=レーヴァテイン〟をついに手に入れる(※神霊を討ち取るなどして、その霊をまるごと刀身に封じ込めることが、ハーソンの持っている〝フラガラッハ〟に代表される古の魔法剣を造り出すロストテクノロジーだった。また、その技術はかつて存在した巨人族と関係しているらしい)。  サウロは、ウィトルスリア地方の工業が盛んな都市国家ウェネティアーナ共和国に商船で到着し、いつか主人キホルテスと再会した時に役立つようにと鍛冶職人ミケラッツィオの工房に弟子入りする。  だが、そこでルネサンス的な雰囲気やヘルメス学に触れ、「学ぶことで己の才覚を高め、それによって人生を切り開く」という、それまでの従者生活では考えもしながった新たな人生観を得る。  また、その工房で見たヘルメス文書の魔導書により、序列43番・死と破滅の伯爵ハルファス&序列39番・詐欺師の総統マルファスの力で「あらゆる兵器を瞬時に用意して雨霰の如く敵に降り注がせる」戦法や「城塞などの防御施設を瞬時に築く」という離れ業を憶える。  新天地行きの船に飛ばされたリュカは、まだエウロパ人の進出が少ない北の大陸の植民都市サント・パフェ経由で原住民ホエプロ族の村へ行き、彼らの「獣の霊を祖先とし、それを誉とする」思想(トーテミズム)に触れ、それまでは心のどこかで忌避していた自身の中にある〝オオカミ〟の力を真に受け入れると、巨大なオオカミそのものへと変身できるようになる。  また、それ以降はホエプロ族の影響で、彼らの銀のアクセサリーにポンチョを身に着け、長いパイプで煙をくゆらすように。
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