第Ⅵ話 ペレグリナキヨン ~巡礼~

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 飛ばされた辰国の貿易船で予期せず故郷へ帰ることとなった露華は、双極拳の総本山〝斎塔山(さいとうさん)〟の道観(※寺院)を訪れ、「正伝双極拳」の正統後継者・帳蔡鴻(チャンツァイホン)より〝八卦〟とはまた別の〝五行(木・火・土・金・水)〟思想による気の使い方を学び、〝双極五行拳(五つの属性の拳)〟や、そこから分化した〝十干十二支拳(12の動物×陰・陽の拳)〟を習得する。  また、転がって来る「水銀の入った巨大鉄球」を破壊するという免許皆伝の試験を突破し、陽拳と陰拳を同時に放つ究極奥義〝太乙拳(陽拳の掌と陰拳の掌を左右の掌で同時に打つ。硬い装甲も柔らかい衝撃吸収体も、また千変万化する液体ですら破壊できる)〟も伝授される。  アスラーマ帝国行きの船に飛ばされたマリアンネは聖地〝ヒエロ・シャーロム〟を訪れ、ダーマ人への差別がなく、エウロパ世界よりも学問に対して自由なその地で高名な錬金術師アル・ベラージ・マグヌーンと出会い、二コラ・フラメルの『形象寓意図の書』などの膨大な錬金術書、『ゾハル(光輝)の書』などのカバラ文献に触れ、進んだ錬金術を吸収。  そして、破壊された父親のゴーレム〝ゴリアテ〟に代わって〝ゴリアテ・ツヴァイ〟を自分だけの力で生み出す(〝セフィロト〟の理論で魂を込めていたため、カバラ文献の知識を得たことが大きい。初代ゴリアテの残滓である土塊(つちくれ)も練り込んで製造し、自身も内部に乗り込み、天を突く巨人やコルベット艦、木馬型の戦車にもなれる変形合体型)。  また、沈むレヴィアタン号とともに行方不明となっていたマルク(片目になってる)は、東方の大国シンドゥーカの浜辺に打ち上げられ、タントリズム(密教)寺院の高僧に拾われていた。  一方、今回の活躍によって影響力を強めたイェホシアス会は帝国内の原理主義的な改革を進め、異教的な性格の強い羊角騎士団も解体の危機に。  異端的な者は騎士団を除名処分にされたり、イシドーロとプロスペロモはしぶしぶイェホシアス会の宣教師に移籍されたり、さらにメデイアは魔女の疑いで投獄されてしまったり……。
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