第Ⅶ部 フィエスタ・デ・パスクワ ~復活祭~

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 ほぼ役割は有名無実化し、解隊の危機迫る白金の羊角騎士団。  魔女容疑でマイニラードの獄中にいるメデイアの身を案じつつ、サント・ミゲルのオクサマ要塞で悶々とした日々を過ごしていたハーソンのもとに、暖炉の炎の中から現れた小人の使い魔(※ソロモン王の72柱の悪魔序列58番・炎の総統アミィによるもの)から「メデイアを救いたければ協力しろ」という密書が届く。  いろいろ追い込まれていたハーソンはその誘いに乗り、もと団員達を招集して「マルク・デ・スファラニアがマイニラードで捕まり、近々処刑されることを全世界に喧伝せよ」という要求を実行する。しかも、公的なチラシを偽装して……。  数日後、その予言通り、落ちぶれた姿でマイニラード総督府へ出頭し、あっさりと捕まるマルク。すぐに裁判が開かれ、翌日には即刻処刑されることに。  だが、ハーソンらの働きで、その時すでにそのニュースは全世界へと広まっており、各地に散った秘鍵団の面々の耳にも入っていた。  北方でビーブリスト(聖典派)の傭兵として渡り歩いていたドン・キホルテスは、酒場で絡んで来たチンピラの落としていったチラシで。  ウェネティアーナの工房で鍛冶職人を続けていたサウロは、町の掲示板に貼り出されたのを見かけて。  リュカはホエプロ族とともに襲撃したエルドラニア人の植民都市にあったチラシを拾って。  露華は奥義伝授の祝宴の席で、町から帰って来た兄弟弟子から「コレ、オマエの仲間じゃないカ?」とチラシを見せられ。  マリアンネもアスラーマの錬金術工房で研究に励んでいたところ、師の持っていたチラシを見るやそれまでに作った火薬や金属加工品などをすべて売っ払って金に換え、新たなゴリアテのコルベット艦(小型艦)形態に乗って旅立つ。  皆、マルクの生存を知って喜ぶも窮地の彼を救うため、すぐさまマイニラードへと駆けつける。  他方、自分が彼らの不幸の原因を作ったと思い悩んでいたイサベリーナも新天地でこれを知り、マルクが生きていたことに安堵するも彼の身を案じる。  そこで、因縁のある羊角騎士団のハーソンに助命嘆願の相談に行くと(今はまったく影響力がないが)、なぜか自身満々に「安心してお待ちください」と意味深な笑いを浮かべる。  だが、気が気ではないイサベリーナも「イェホシアス会の説教を聞きに行く」という名目で、羊角騎士団とともにマイニラードへと旅立つ。
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