第Ⅱ部 黒い雌鶏の秘宝

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 新天地で『大奥義書』を巡る騒動(※第Ⅰ部=投稿小説部分)が起きていたその頃、神聖イスカンドリア帝国領内(※皇帝は現エルドラニア国王カルロマグノ1世が兼務)でビーブリスト(聖典派)討伐にかり出されていたエラクルス・マイケネス達〝白金の羊角騎士団〟の精鋭別動部隊のもとへ、作戦終了後、騎士団の女性俊足メッセンジャー・アトランテによって帝国からの密命が届く。  新天地へ帰る際、密かに魔導書『黒い雌鶏』をヌエバ・エルドラーニャ副王(※新天地にあるエルドラニア領の総督)アンルイス・ド・ベラドーサのもとへ運べというのだ。  団長のハーソンを通さない命令ではあったが、皇帝直々の命にやむなく従い、偽装のためのくたびれた商船で彼らは新天地へと向かう。  一方、新天地では『黒い雌鶏』輸送の情報を密かに察知し、マルク達〝禁書の秘鍵団〟がその船を襲う。  わずか一隻のガレオン船と警備の手薄さに不審を抱くマルク達だったが、案の定、それは囮であり、罠を張って待ち構えていたハーソン達羊角騎士団(新天地駐留の部隊)の奇襲を受ける。  しかし、予想していたマルク達は素早く撤退し、辛くもその場から逃れるのだった。  その囮作戦の甲斐あって、無事、ヌエバ・エルドラーニャ副王領第一の港町ベログロスへ到着する羊角騎士団別動隊と『黒い雌鶏』。  出迎えた団長ハーソンが、彼らの乗って来たオンボロ商船に牽引される海賊船を訝しがると、「俺達だと知らずに襲って来たバカがいたんで、ついでに拾ってきました」と捕えた海賊達を示すエラクルス達。  また、龍騎士(ドラグーン)カライージョは「船の弾薬はぜんぜん使ってないんで使ってください。ほんとはもっと撃ちまくりたかったのに…」と嘆き、エラクルス達の常人離れした強さを暗に示す。  また、ハーソン達の秘鍵団捕縛作戦が失敗に終わったことを知り、「なさけねえなあ。俺達なら余裕綽々で捕まえたのによお」と嫌味を言う別働隊のパレーテイダ兄弟と、仲の悪いオスクロイ兄弟(ハーソン達本隊所属)は言い争いになる。
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