第Ⅶ部 フィエスタ・デ・パスクワ ~復活祭~

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 エウロパ世界の常識からすれば危険極まりないその行為に、「追い詰められて正気を失ったか?」とさらに驚くハインリヒティウスだが、「さすが頭コチコチの宣教師。世間が狭いね。東方にはね、取り憑いた悪魔ですら制御できる魔術ってのがあるんだよ」とマルクは嘯き、「今からそれを見せてあげるよ。さあ、みんな、この前のお礼といこうじゃないか!」と仲間に号令を下して反撃を開始する。  外聞も忘れ、マルク達の復活を喜ぶイサベリーナが見守る中、番兵はもちろん、前回敗北したイェホシアス会の魔法修士も次々に討ち取ってゆく秘鍵団の面々。  巨人スルトの炎を纏ったフランベルジュ〝レーヴァテイン〟を振るうドン・キホルテススは、アルハーン・サルニドンの使う四大元素(地水火風)の剣も難なく破り、後方で東西南北四極の天使により空間を支配していたフランシエスコ・グァゾビエラも、悪魔ハルファスの力で無数の刀剣を雨霰の如く降り注がせるサウロにより、魔術の要であるアルマデルのタブレットごと串刺しにされる。  巨大な狼とかしたリュカも、黄道十二宮の動物・幻獣に変身するニコラレ・ミバティーリャを獲物の如く軽々と仕留め、水曜の天使により流動的性質を宿したマルディエゴ・リオネスの身体も、露華の放つ究極奥義〝太乙拳〟によって一撃で粉砕される。  前回、天使から得た知識でゴリアテを土塊(つちくれ)に戻したピエルド・ファランクルも、より高度なカバラの秘術で造られたゴリアテ・ツヴァイの構造は理解できず、また、カバラを生み出したダーマ人としての誇りを取り戻したマリアンネに心理戦も効かぬまま、新たなゴーレムの巨大な拳で遥か彼方へと殴り飛ばされてしまう。  そんなマリアンネに「ハーソンへの借りを返さなきゃ(※偽チラシの件)」と、メデイアの囚われている牢獄をゴリアテで破壊するよう頼んだマルクも、ナベリウスに代わって序列34番・雷と稲妻の公爵フールフールと〝魔人合一〟し、雷撃の拳で多勢の番兵を撃破する。
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