第Ⅱ部 黒い雌鶏の秘宝

3/5
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 ともかくも、首都ヒミーゴにいるヌエバ・エルドラーニャ副王のもとへ届けられた『黒い雌鶏』。  その目的は、本魔導書に書かれている財宝へと導く〝黒い雌鶏〟を育て、その鶏によって原住民の祖先が残した伝説の〝黄金都市〟を見つけることだった。  だが、その魔術を用いるには清らかな心を持つ者でなくてはならない(悪魔にその欲を見透かされるから)と言われている。  副王も、また、財宝捜索隊の責任者としてコンキスタドール(※探検家であり、原住民を征服する者)に任じられた魔法修士崩れのペルナンドロ・デ・バルデビールも欲に塗れており、著名な司祭やハーソン達も忙しくて誰も適当な人物が見つからない。  ちょうどそんなところへ、偶然にもヒミーゴ見物に来ていたサント・ミゲル総督クルロス・デ・オバンデスとその娘イサベリーナが挨拶に訪れ、天真爛漫な乙女であるイサベリーナに白羽の矢が立つ。  大役を仰せつかり、魔導書の記述に則って〝黒い雌鶏〟を卵から育て始めるイサベリーナ。  『黒い雌鶏』奪取に失敗したマルク達はその成長を待つことにするが、誰か見張り役を潜り込ませたいと思っていた矢先、総督府に薬草などを売りつけようとしていた原住民シンドゥオの少年ウラタロを見つけ、彼を言い含めると、「鶏飼育の達人」と偽って潜り込ませる(※自分達は顔バレしてるし、ハーソンの腹心・魔女メデイアの魔術でバレかねないので)。  ほどなく〝黒い雌鶏〟が育ち、ついにペルナンドロを隊長に黄金都市捜索隊が〝黒い雌鶏〟の後を追ってジャングルへと出発する。  その中にはイサベリーナはもちろん、警護の任に就いたハーソンら羊角騎士団(今回はエラクルス達別働隊組)、さらに道案内役としてうまいことウラタロも含まれていた。  少年と繋ぎをとりながら、マルク達もその後を密かに追う。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!