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ええい、消えろ! と思いながら、初めと同じ旋律をごくわずかな音で奏でる。 収まれ、と自分に言い聞かせるようにピアノの音に耳を澄ます。 どうしたって消えないことは知っている。 だからこそ、強く思う。 消えろ、と。 そして―― その願いを突如覆すかのように、すべてを巻き込んで音は一気に終わりへと駆け上がっていく。 気持ちのすべてをぶつけるように、指先にごちゃ混ぜの気持ちを乗せた。 最後の音の波がこれでもかと連続する箇所を一気に弾ききると同時に息を吐き出す。 残響が吐き出した息と重なった。 と、パチパチと乾いた拍手が音楽室の入り口の方から聞こえた。 いつの間に―― 驚いてバッとそちらの方に顔を向けると、そこにはさっき帰ったはずの佐伯がいて、こちらに拍手を送っていた。
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