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「そうかもしれない。僕も詳しくはないが」
「民家もほとんどないね」
「あることはあるが、多くはないな。これから行く集落にはいくつか建っているぞ」
「道も舗装されていないし、車も走ってないし」
「舗装道路を信仰するやつはいないからな。アスファルト萌えって人はいたような気がするけど、少数派過ぎる。あ、そうそう。車はあるぞ」
「えええっ、車あるの? じゃ、それに乗って行こうよ。早く着くでしょ」
「でも、ガソリンがないから走らない」
「だぁぁぁ」
なんのために車があるのかと問い詰めたい。味噌汁が冷めるまで問い詰めたい。
「車種でいうなら、スバル360やパブリカなんかが多いな」
「それって車の名前なの?」
「昔のな。最近どういうわけか急に増えたのが86トレノだ」
「それ、なんていにしゃるD?」
「じつは、新幹線だってあるんだぞ」
「えええっ!?」
「ただ線路も電気もないから動かないだけで」
どらどらどら、と足から崩れ落ちる私。
「はっはっは。コケ方がうまいな、君は」
「わざとやってんじゃないわよ!! なんでそう意味のないものばっかりがあるのよ、ここは」
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