第3話 あさっての朝に見る夢

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「そうかもしれない。僕も詳しくはないが」 「民家もほとんどないね」 「あることはあるが、多くはないな。これから行く集落にはいくつか建っているぞ」 「道も舗装されていないし、車も走ってないし」 「舗装道路を信仰するやつはいないからな。アスファルト萌えって人はいたような気がするけど、少数派過ぎる。あ、そうそう。車はあるぞ」 「えええっ、車あるの? じゃ、それに乗って行こうよ。早く着くでしょ」 「でも、ガソリンがないから走らない」 「だぁぁぁ」  なんのために車があるのかと問い詰めたい。味噌汁が冷めるまで問い詰めたい。 「車種でいうなら、スバル360やパブリカなんかが多いな」 「それって車の名前なの?」 「昔のな。最近どういうわけか急に増えたのが86トレノだ」 「それ、なんていにしゃるD?」 「じつは、新幹線だってあるんだぞ」 「えええっ!?」 「ただ線路も電気もないから動かないだけで」  どらどらどら、と足から崩れ落ちる私。 「はっはっは。コケ方がうまいな、君は」 「わざとやってんじゃないわよ!! なんでそう意味のないものばっかりがあるのよ、ここは」     
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